恐れ / 「死」が怖い 上橋菜穂子・作家
とても小さな頃
たぶん3歳頃だと思う
毎夜「母の死」が怖くなって
階段の頂上に座って泣いた
父の膝に抱かれて
気持ちが緩みまどろみ始めると
そこでおもらししていたように思う
そのあと父におぶられて
寝床に運ばれる浮遊感が
心地よかった
..........
私が初めて「死」というものを
怖いと感じたのは3、4歳の頃だった。
昼の日差しが照り付ける
真っ白な道を歩きながら、
「おばあちゃん、私、死ぬのが怖い」
と言い切った
自分の幼い姿を思い出したとき、
私は「死」と「想像力」とはきっと
深いところでつながっているのだろうと
直感した。
上橋菜穂子
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