動力
「あなたに何ができるの」
と母が言った
図星を突かれ言葉を失った
5年数ヶ月働いた会社を辞め
父の経営する小さな会社で
働くことに決めた時だ
親に信頼されていない自分の無能さを
呪った
そして次に
今にみておれと
復讐に似た気持ちが湧きあがった
一方
彼とのつきあいは
綱渡りのように続いていた
双方の友人たちの結婚が
いくつもあり
私たちも結婚することになった
結婚式の直前
彼が言った
君から得るものは何もない
母の言葉にも
彼の言葉にも
私は
顔を向けることも
言い返すこともできなかった
母の言うとおり
はじめ私は何もできなかった
パソコンの勉強をして
簿記の勉強をして
経営の本を読んで
社会保険の事務手続きから
決算申告や
税務調査の対応まで
するようになった
資産を見直し
資金繰りも良くなった
両親は喜び
頼られるようになった
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