結婚式
父の会社に勤めてから1年半後
1994年2月11日
冬晴れの日に結婚した
建国記念日にしたのは
ふたりの生活を築いていく
スタートの日だから
祝日で毎年お祝いができるから
華道の先生をしている叔母の手を借り
ブーケやプートニア
髪に飾る花
両親への花束を作った
式が終わり次第
新婚旅行に出発するので
二人ともジーンズ姿で式場へ
私はすぐに美容室に入り
彼は沢山の花を持って歩いていると
花屋さんだと勘違いされた
楽しい式になった
彼の同期や会社の人も
盛り上げてくれた
式が終わると
「思っていたのと違ったわ」
と彼の母が不満気に言った
式場が決まる前
自分で縫った
古いウエディングドレスを
「着てほしいの」と出してきた
首がつまった長袖で
共布の大きなリボンが
胸に縫い付けてあった
自分たちと同じ場所で
ロマンチックに厳かに
というのが
彼の母の夢だった
私には私の夢がある…
空港へ向かうタクシーで彼が言った
「大学の時にテニスの試合で
勝ったときのほうが嬉しかった」
なぜ彼は私と結婚することを
実行できたのだろう
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