急ブレーキ
双子が生まれて 私たちの生活に
急ブレーキがかかった
休む間のない忍耐の時間だった
けれど 私にとって
1度しか経験できない時間だろう
みるみる成長していくふたりを
見逃さないように
精いっぱい楽しむことに決めた
生まれたての赤ちゃんの
青みがかった目は美しかった
静かな夜中に抱いていると
いっそう神秘的だった
大きなリスのようで
あんまり可愛いので
ぎゅっと抱いたら
40分もかかって飲んだミルクを
ほとんど吐いてしまった
夫は
赤ちゃん中心になった生活が不満だった
ジムに通って体を鍛えたり
仲間とシーカヤックを始めたり
スカッシュに行ったり
ストレスの多い仕事だからと
コンディションを保つためと
どんなに子どもが泣いていても
夜9時には自室に下り
上がってきてくれなかった
ふたりが1歳になったころ
公園でできた母親仲間と
近所で飲み会をした
初めての解放感を楽しんでいた
携帯が鳴っていることに気付くと
すでに着信が何度もあった
「泣くんだけど」
夫からの怒りの電話だった
帰宅すると
携帯に出ないなら
なんのために持っているんだと激怒
持ち慣れていなくて
携帯を気にする習慣がなかった
携帯を解約した
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