物語13 「鍵」あとがき
陸と海が高校1年の夏、
15歳もあとすこしでおしまいのころ、
やっと4話目の物語を書き、
陸と海、
それぞれ別々の時間に読んでもらった。
双子のふたりは同じ反応だった。
「ふーん」とあっさり。
感想はなく、文章の指導をしてくれた。
そして間をおいて、
「信じてた頃を思い出した」と、
「変な母親に育てられた」と
嬉しそうに言った。
高校の3年間でふたりはぐっと成長し、
大学やその先のことも話すようになった。
「変だけど、でも大切に育ててもらった」と
言ってくれるようになった。
「あのときのあれはひどかった」と、
私の子育ての「ダメ」が
食卓の話題にのぼるようにもなった。
「今、そういうことを笑って話せるって
ことが大事なんだよ」と陸。
よかったな。
笑い合える思い出が
たくさんあることが宝物になった。
シャリーン・コスタンゾ著
「12の贈り物」必要とする日のために
あなたが生まれた日、
あなたがはじめて小さな息をした瞬間、
世界中がよろこびでいっぱいに
みたされました。
あなたの誕生をいわって、
生きとし生けるすべてのものが、
あなたに12の贈り物をさずけました。
あなたがその贈り物を必要とする日のために。
1番目の贈り物は「力」
あなたには、
けっしてかれることのない力の泉がります。
つかれはてこれ以上一歩も前に進めないと
思った時も、あきらめないでください。
あなたには、あなたの手で人生を
きりひらく力がそなわっているのです。
必要なときにいつでも、
ひきだすことのできる力が。
2番目の贈り物は「美しさ」
あなたには、いつまでも朽ちることのない
美しさがそなわっています。
その美しさは、
あなたのなかでかがやきつづけます。
あなたのふるまいも、
年とともにきざまれた表情も、
生活のいとなみもすべて、
あなたのさずかった美しさを
そのままうつすことでしょう。
3番目の贈り物は「勇気」
だれに対してもまっすぐにむきあい、
自分の思いを真剣に語る勇気。
おびえたり、くじけたりしそうなときでも、
信念をつらぬく勇気。
それらの勇気が、
あなたにはそなわっているのです。
ためらわずに
自分の信じた道を進むことができるよう。
4番目の贈り物は「信じる心」
あなたには、
信じる心がさずけられています。
たとえ、だれかがあなたを
きずつけたとしても、
けっして自分や他人を
見はなすことのないように。
あなたには、
自分も他人も信じる心があるのです。
5番目の贈り物は「希望」
晴れの日も、雨の日も、
人生はすばらしい。
そう信じることのできる心が、
あなたにはさずけられています。
絶望の闇にとざされたときも、
どんなときも、
心に希望という名の太陽をのぼらせれば、
世界はあらたに
かがやきはじめるでしょう。
6番目の贈り物は「よろこび」
あなたには、つきることのない
よろこびの泉があります。
わきあがるよろこびをうけとめたとき、
あなたの心は、
ますますのびやかにひろがり、
あなたのひとみは、
ますますかがやくでしょう。
7番目の贈り物は「才能」
あなたがあなたらしくあることの
すべてが、かけがえのない
特別な力となるのです。
あなたがあなたらしく
生きたあかしを見て、
人はそれを才能とよぶでしょう。
8番目の贈り物は「想像力」
目の前の現実だけでなく、
目に見えないものを見つめる力。
現在だけではなく、
過去から未来へとながれていく
大きな時間に思いをはせる力。
夢やあこがれを
ゆたかにはぐくむ想像力が、
あなたのなかにあるのです。
心のつばさをひろげてください。
9番目の贈り物は「敬う心」
あなたが今ここに生きて
あることをよろこび、
すべての命のふしぎに
おどろき大切にすることができる、
敬う心をあなたはもっているのです。
10番目の贈り物は「知恵」
あなたが願い もとめている真実を
つかむことができるように、
あなたには知恵がそなわっています。
あなたにとって必要な
知識をえるための知恵、
そして、その知識を
いかすことのできる知恵が。
11番目の贈り物は「愛」
だれかに愛情をそそぐたびに、
あなた自身が愛につつまれるでしょう。
12番目の贈り物は「誠実」
うつろいにまどわされず、
あなたの信じたことをやりとげてください。
これらがあなたにおくられた
12の贈り物です。
そして、最高の贈り物が
もうひとつあります。
それはあなた自身です。
あなたは出会ったこともない
数多くの仲間と
結ばれていることに気づくでしょう。
あなたにおくられたものは、
すべての人に等しくあたえられた宝物であり、
それは人々とわかちあえばあうほど、
ゆたかになる宝物だということに。
すべてを生かし、生かされ、よろこび、
感謝する人生が
あなたのものになりますように。
誕生日だったかかクリスマスだったか、
夫婦仲…というよりは
家族関係がすでに悪くなっていたころ、
「鍵」を読んだ夫がこの絵本をくれた。
ひとの胸にある12の扉、
「愛」「信頼」「力」のほかは何だろう…
と考えていたときだったが、
当時の私には響かなかった。
私は厚い「カラ」の中にいたのだと思う。
私は自分の学生時代がきらいだった。
いや、思春期のはじまりから
子どもが生まれるまでの
長い時間のすべてがきらいだった。
私は子どもたちに育てられたと思っていた。
でも今は、悩みやコンプレックス、失敗…
結婚、離婚、仕事、
子どもたちの成長、親の老い…
経験してきたすべてに
育てられたと思っている。
子どもたちや友人知人に支えられた。
気がつけば、あのころの悩みや
コンプレックスは小さなものになり、
自分のことが好きになれた。
人生の半ばを越したけれど、
老いていくということの
過酷さはまだわからない。
できることなら、
自分を面白がりながら、
愉しみながら、
私も「わたしの物語」を織っていきたい。
2018年秋
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