痛み止め

入院病棟の病室に移った

狭いけれど個室で

トイレ・シャワー・テレビ・

ビデオデッキ・電話など

設備が整っている


トイレで用を足すのは

とても恐ろしかったが

数歩のところにあるのは助かった

会陰と子宮の痛みで

起き上がるのも寝るのも

電動ベッドのが頼り

壁を伝わないと歩けない


17時半頃 夫と母が帰って

夕食後少しウトウトする

20時頃

会陰と子宮の痛みがひどいが

痛み止めは座薬だという

恐ろしくて患部を見ることもできないのに

座薬だなんて無理だ

我慢していたところへ

そこで看護師をしている友人が訪ねてくれ

おしゃべりでしばらく痛みを忘れられた


夜もふけるが痛みで眠れない

巡回の看護師さんが

経口の痛み止めをくれた

なんだ経口があるなら早く言って!

夜中の2時 やっと眠れる



「授乳」

出産の翌日12時

海に初めて乳を含ませる

ほとんど出ないけれど上手に吸ってくれ

後のミルクも元気よく飲んだ

背中をたたくとゲップもすぐに出る

初めての経験ばかりだ


少し元気が出てきたので

離れているNICUまで

歩いて陸を見に行こうとした

半分位歩くと子宮がひどく痛みだした

なんとかNICUにはたどりついたが 

保育器のガラス越しにちらりとのぞくだけで

車椅子で病室へ戻る


生後1カ月位まで

3時間ごとに授乳する

はじめは何も出なくても

乳首を含ませ吸われると脳が刺激され

ホルモンが分泌し

乳がでるようになるそうだ

にじむ程度の初乳でも

赤ちゃんの免疫のためには重要だという

母乳を与えたいけれど体調がもどらない

子宮収縮の痛みはつらく

内臓をおもいっきりつかまれるようだ

ベッドで くの字で耐える

それに加え 立ちあがろうとしても

なぜか体がまっすぐにならない

力が入らず 腰からクニャッと

おじぎをするように折れてしまう

腹筋背筋はどうなってしまったのだ

無理に体をまっすぐにすると

呼吸ができなくなる



「しわくちゃのおなか」

夕方 母親学級で一緒だった里花さんが

 「こんばんは~」と

ひょっこりカーテンから顔を出した

パジャマを来てスタスタ歩いて

ベッドの横の丸椅子に腰かけた

おなかも平らで元気そう

もう退院が近いのかと思ったら

私と同じ昨日

夜10時の出産だったという

まだ24時間も経っていない


この違いはなんだ

私は起き上がることもままならず

ドーナッツ座布団がなければ

痛くて座れない

聞けば 出産まで30時間かかり

その間痛かったが

少しずつ進んだので

会陰も切らなかったという

赤ちゃんは男の子で2600グラム

産んだらおなかもほぼもとどおり

出産前から母乳がにじんでいたので

今は張ってしまって大変という


30時間は辛そうだが

うらやましいことばかり

ふたり入っていた私のおなかはすごい有様だ

まだ何か入っているようにポコンと出ていて

背中までに及んだ妊娠線は

張りを失ってちりめん皺

色素沈着まで起こしている

しわくちゃの

おばあちゃんになったペコちゃんが

腹にくっついているみたいだし

まだ母乳も出ない

ふたりの乳母になって欲しいくらいだ


おなかの話のついでだが

そのふにゃふにゃのおなかの上から

子宮が触れるのだ!

自分の内臓を触れるなんて今だけだろう

面白い

次第に収縮し 触れなくなるそうだ


「声聞こえたよ」と里花さんは言った

私が叫んでいる間

近くの病室にいたのだ

同じ体験をした人から言われると

よけい恥ずかしい


連れて来てもらったり

車椅子で連れて行ってもらったりしながら

海の授乳を再開した

夜には陸の様子を見ることができた

陸は少し血色が良くなったが

口からミルクを吸うことはできず

鼻から細い管を通し

胃直接に入れてもらっていた

口さみしいのだろうか

与えられながらも泣いていた

青空通信

双子の子育てや離婚、自分の成長、 他の方々から頂いた言葉、 出会った言葉を綴っています。

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