おじいちゃん おばあちゃん
ふたりが2歳の2月
夫の父方の祖父が亡くなった
満92歳の大往生だったが
まだまだ元気でいてほしかった
もっと話がしたかった
私の父方の祖父は
私が4歳の頃病気で亡くなり
祖母は父が14歳のとき
東京大空襲で亡くなった
母の郷里は遠かったので
祖父母にはあまり会えないまま
私が小学生の時に祖父が
中学生の時に祖母が亡くなった
結婚して
「おじいちゃん」「おばあちゃん」
と呼べる人ができたことは嬉しかった
おじいちゃんは
おしゃべりが楽しい偉丈夫な人だった
快活なおじいちゃんが好きだった
筆まめで折々に
青い万年筆の手紙をくれ
私も真似して万年筆で返事を書いた
私の書く文章を誉めてくれた
陸と海は初のひ孫で
とても喜んでくれた
お食い初めや
1歳の一生餅を祝えた
ふたりの子育てに追われ
送るのは写真だけになったが
訪ねると壁一面に貼ってあった
陽の良く当たる家は
いつもさっぱり片付いて
庭の木には柚子が成り
野鳥のために果物が刺してあった
おばあちゃんは
ふんわりまるい笑顔で
皆の話を聞いていた
こんな風に静かで明るくて
かわいらしいおばあちゃんに
なりたいなぁと憧れた
おじいちゃんが亡くなってから
おばあちゃんにたくさんハガキを書いた
今日は何を書こうかと歩いていると
ピチッと小さな音がしていい香り
橋のたもとの梅の木の
最初の紅い一輪が開いていた
おばあちゃんは ふるえる字で
よみにくくてごめんなさいと
返事をくれた
何年も続いて 数えてみると
おじいちゃんとおばあちゃんの手紙は
100通以上になった
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