助っ人
冬の間
陸と海はほとんど家の中で過ごし
ご近所の史子さんが
なみの散歩をしてくれた
当時 史子さんの家には
シベリアンハスキーと
グレートピレニーズがいて
3頭の大きな犬を
優雅に連れて歩ける史子さんは
たのもしくて素敵だった
散歩の後もしばらく
史子さんの家ですごすこともあった
うちでは赤ちゃんが中心で
しょんぼり顔のなみが
史子さんの家から
満足気なようすで帰ってくる
楽しかったんだね
と私も嬉しくなった半面
なんだか年頃の女の子の親になったような
寂しい気持ちもあった
1カ月後 仕事を再開した
午後の数時間
母と母の友達の
安子さんと由美子さんが
2人ずつ交代で来てくれた
経験豊富な小母さま方誰かしらの
手に抱かれ ふたりはよく眠った
抱き癖が付く心配より
多くの人の優しい気持ちに触れて
育った方が幸せだと思った
仕事は自分のペースでできる
赤ちゃんの世話よりもずっとずっと楽で
会社で休んでいるようなものだった
帰宅すると
母にお風呂を手伝ってもらった
ひとり入れ終わって新しい服を着せ
もうひとり入れて新しい服を着せ
最後は自分と
2階と1階を行ったり来たりした
母が帰ると また孤独な戦いの時間
午後にたっぷり昼寝をしたふたりは
夕泣きがひどかった
2階にベビーカーを上げ
ひとりをおんぶして
延々と暗くなるまで揺らしていた
眠ったら食事の支度
3食分ぐらいまとめて作って
後で温めれば済むようにした
アジの開きも
食べる何時間も前に焼いたり
ビーフシチューにはんぺんが入っていたり
この頃の食事はひどい物だった
そして延々と続く夜泣き
3人掛けのソファーの真ん中で
両手にふたりを抱いていた
何度も時計を見るけど
5分しか進まない
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