ハト2003
10月23日
公園の砂場にケガをしたハトがいた
カラスに攻撃されたらしい
頭は血まみれ
目はキョロキョロと動くが
横たわったまま動けない様子
公園は幼稚園の向かいで
園児と母親で人だかりができていた
ハトを保護した経験はある
ポケットには犬の散歩用の
ビニール袋が数枚入っている
放っておけず 動物病院へ
頭はグチャグチャに見え
もうダメだと思ったが
先生の手にかかると
傷の様子がはっきりと分かった
額から後頭部の首筋に向かって切れ
皮がベロンとむけている
白く丸いものは頭蓋骨だ
16針縫い 注射
薬をもらって自宅へ
以前使った鳥かごに入れると
その体勢のまま丸くなって眠る
3時間ほど眠ると起き上がり
なんと両足で立った
10月24日
じっと立ってはいるが動かない
いくつも糞をしているので
餌は食べているようだ
右足に障害があり握ったまま
これは以前からのものだろう
左眼球は無傷のようだが
傷に引っ張られて
目を開けることができない
薬は目薬の容器のようなものに入っている
それを1日3回5滴ずつ与えるのだが
それが面白い
タオルでハトを包み
羽と足を動かないようにする
ハトを横にし
くちばしの境目に垂らすと
毛細管現象で口の中に入って行く
すると条件反射でついばむように
くちばしと舌を動かして飲む
ハトは「平和の象徴」と言われるが
身近に接するとその通りだと思う
普段見かける姿は エサに群がり
いたるところに糞をし
おまけに病原菌ももっていて
あんまりいい感じはしないが
とても気弱な生き物だ
世話をするのに手を差し出しても
つつくわけでもなく
じっとなされるがままだ
10月25日
どうやら峠は越えたようだ
狭い鳥かごの中で羽を広げて
バタバタと動くので風呂場に放す
洗面器に水を張り
エサを置いておく
人目がある間はじっと動かないが
しばらくたって覗きに行くと
洗面器で水浴びをしている最中で
あちこちに糞もしている
午後になって風呂場に見に行くと
まだ洗面器の中にいた
入ったはいいが出られなくなったらしい
ハトも風邪をひいたりするのだろうか
洗面器はやめて発泡スチロールの
トレーに変える
夜は鳥かごへ
10月26日 再び浴室へ放す
薬を飲み エサも食べ 水浴びをする
ところが 夕方鳥かごに戻すために
風呂場に行くと
床でバタバタと羽を広げてもがいている
鳥かごに入れても立ち上がれず
そのままあっけなく死んでしまった
何が起こったのだろう
タオルにくるんで餌・花を添えた
われわれはいかに子供たちによって、
いかに動物たちによって
教育されることであろう!
育てる、教えるという関係は、
けっして一歩通行の関係ではない。
育てる者が育てられる者に育てられる
という反転が、そこにはかならず起こる。
育つなかで自分が失ってしまったものを、
自分以外のものを育てる中で気づかされる。
私の場合、人生に意味や理由を求めすぎると
幸福より不幸に近づくと、
犬から教わった。
マルティン・ブーバー 宗教学者「我と汝・対話」
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