旅 / 発見の旅 マルセル・ブルースト
幼稚園から小学生の間
大きな旅も小さな旅もたくさんした
石垣島ではマンタと遭遇し
ふたりを両腕に 浮かびながら見た
西表島ではカヤックで川を上り
滝の上に登って日食を見た
屋久島ではウミガメの産卵と
赤ちゃんガメを見ることができた
満天の星空
けむりのような天の川を初めて見た
屋久杉の森には苔がそこらじゅうに生え
たっぷりと水を含んで
木漏れ日にキラキラと光っていた
縄文杉の帰り道
歩いても歩いても
終わらない道を
あそこを曲がると着くよ~
あれ~まだだ~と
海が何度も
明るく言ってくれるのが
可愛らしくて 頼もしくて
励まされた
たどり着いた駐車場で
もらったかき氷が美味しかった
普段 近所しか運転しないのに
2年生のふたりを乗せて
カーフェリーで九州に行った
出発の夜 エンジンをかける前
協力してね と頼むと
わかった と緊張の返事
トビウオがフェリーの船べりから逃げ
海面すれすれを長距離飛ぶ
その飛行時間と
「あーーーーー」と声を出す時間の
長さを競った
誰もトビウオには勝てなかった
夕焼けも朝焼けも カップヌードルも
何でも楽しかった
調理道具を積んで行ったので
トンボが飛び回る河原沿いの駐車場で
焼きそばを作ったり
レトルトカレーを温めたりしながら
あちこちを周った
熊本の天草の沖で
イルカの群れに囲まれながら
アジ釣りをした
鹿児島から宮崎への移動は
大型の台風と一緒だった
風で車が揺れたり
レストランが浸水してきたり
3人でドキドキの素晴らしい16日だった
長野には何度も訪れ あちこちを周遊した
小川村では 自作の天体望遠鏡で
月のクレーターや 土星の輪
木星の衛星も見た
立山ではライチョウもオコジョも見た
雄山登山では 心配して
何度も戻って来てくれたね
西穂高や立山で見た夕日や雲海
御嶽山の空の群青
むくむくと形を変えながら流れる雲
美ヶ原から臨む
雪を頂く北アルプスの山並み
煙をたなびかせる浅間山
畳平の帰り道 駐車場の無人販売で
虫かごの昆虫が500円で
ぶらさげてあった
山道を走る間中
フロントガラスに留まっていたバッタに
陸が 財産という名前をつけた
上高地の徳沢で 桂の大木に
びっしりとついた黄色い葉が
山を下りてきた夕方には全部散っていた
鮮烈な秋だった
手作りお焼き
馬籠で食べたお煎餅
食べ物の思い出も各地にある
小学校を卒業した春
カナダにオーロラを見に行った
厚く凍った湖上に
椅子を並べてオーロラを待つ
北極星が天頂に近く
北にいることを実感した
静かな星空を見ながら
ママさぁ…とつぶやくと
海が
ママ暗い話はダメ ここはカナダだよ
と言った
不安にさせちゃって 心配させちゃって
ごめん
中学で部活が始まると忙しくなった
夏休みの北海道が最後の長旅になった
レンタカーでは1枚だけ持って行ったCDを
繰り返し聞いた
0コメント