「あ」じゃなくて「お」 小松愛子
息子が幼稚園年長だったある時、突然
「ママ『あ』じゃなく『お』、
『あ』って言わないで、『お』って言って」
と言い出しました。
「何言ってるの」と訊いても、
「だから『あ』じゃなくて、『お』なの」
と繰り返すだけでした。
当時フルタイムの仕事をしていて、
気持ちも時間も余裕のない
新米ママだった私は、
マイペースな息子に対し、
「あっ、またー」「あっ、もう」
という言葉ばかり口にしていたのでした。
「あ」の後は否定的な言葉が続きますが、
「お」の後は、
「おーすばらしい」「おー頑張ったね」など、
相手を認め賞賛する言葉が来ます。
息子のメッセージに反省させられ
「『あ』じゃなく『お』」は
私のおまじないになりました。
三井住友信託銀行第6回「わたし遺産」大賞より
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